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2013.10.12
「YUBAメソッド」とカラオケを用いた教育応用展開について 三重大学との共同研究報告
株式会社エクシング(社長:吉田篤司)は、親会社であるブラザー工業株式会社(社長:小池利和)、及び国立大学法人三重大学(学長:内田淳正)と2010年4月から実施している共同研究『YUBAメソッドとカラオケを用いた教育応用展開』について、2012年度に実施したYUBAメソッド導入による音程改善効果検証の報告をいたします。(*1)尚、この結果は2013年10月12日、日本音楽教育学会(弘前大学)にて発表されました。
【共同研究テーマ】 『歌唱上達法「YUBAメソッド」のカラオケへの応用展開』
【研究内容】
モデル校として愛知県東郷町立春木中学校1年生(271名)を対
象に行いました。音楽授業の最初に業務用カラオケで配信中のコンテンツ「YUBAメソッド3分間<のど鳴らし>」を発声練習として導入し、その効果を検証しました。効果の検証は、YUBAメソッドを導入したクラス(ケースグループ)と、既存曲(教育芸術社の教科書「中学生の音楽1」掲載の合唱曲「Forever」)を発声練習として用いたクラス(コントロールグループ)とに分け、約1年に渡って授業で実施しました。結果の解析は、生徒たちへのアンケートと客観的な評価として工学的手法に基づいて解析しました。
1.工学的視点からの客観的評価
「YUBAメソッド」で身につくとされる6つの発声能力【①音域、②音量、③音程、④音化、⑤発音、⑥音色】のうち工学的に解析が容易な「音程」に着目し、各生徒の校歌の歌唱音声を分析(有効分析数195名分)しました。楽譜との音程(ピッチ)のズレを指標化して音程改善効果を検証しました。第1期(4月→7月)と第2期(7月→1月)に分けてピッチエラー(平均値)の推移を、「YUBAメソッド」の実施状況に応じて、3グループに分けて分析しました。(*2)
・Aグループ(50名):一度も実施していない
・Bグループ(96名):第1期、第2期のいずれかで実施
・Cグループ(49名):第1期、第2期の両方で実施
この結果、「YUBAメソッド」を実施したグループでのピッチエラーの平均値で音程改善効果が高いことが分かりました。
2. 生徒による自己評価
生徒に1学期の最初(4月)と最後(7月)で、校歌を歌う自分の声がどう変化したかを問うアンケート(実際に各人の録音した声を聴いた直後)では、導入クラス(ケースグループ)と未導入クラス(コントロールグループ)とで「入学前より歌いやすくなったか?」を比較してみると、導入クラスで歌いやすくなった生徒が95%であったのに比べ、未導入クラスでは57%で、大きな差が見られました。
3.今後の展開
今後も教育応用として「YUBAメソッド」が及ぼす新たな効果について、更に研究を深め、実験検証を行って参ります。
*1. 「YUBAメソッド」:三重大学教育学部の弓場徹教授が、「発声機能解剖生理学」の研究により構築した「YUBA理論」(発声制御理論)を基に生まれた新発声法。模範となる声をまねることで、ノドの「歌う筋肉」(輪状甲状筋)の使い方を習得させ、発声能力を短期間で効率的に高めます。
*2. 解析対象からは、欠席者(4月、7月、1月いずれか欠席の場合)、変声期を考慮し、校歌の歌唱声域が1オクターブ変化した生徒や、ピッチの抽出が楽譜の4割に満たなかった者(76名)を除外しています。