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2003.11.19
-海を越えるカラオケデュエット-グリッド・コンピューティング技術で共同実験
株式会社エクシング(本社 名古屋市、代表取締役 土岐高広)、早稲田大学(総長 白井克彦)および独立行政法人産業技術総合研究所(理事長 吉川弘之、以下産総研という)は、産総研が開発している「グリッド技術」*を用いた次世代の映像・音声通信技術により、国内と海外のカラオケルームの利用者同士でデュエットを行うシステムについて、11月21日(現地時間11月20日)米国フェニックス市で開催中のスーパーコンピューティングの学会「SC2003」にて研究成果を発表し、共同実験を行います。
今回の研究発表と実験は、エクシング、早稲田大学副総長 村岡洋一教授の研究グループ、産総研グリッド研究センター(センター長 関口智嗣)の3者の共同で行います。グリッド技術は、次世代情報通信基盤技術として、国際的に注目を集めており、大規模科学技術計算の分野においてはすでに成果を挙げ始め、最近ではビジネス分野への応用が注目を集めています。今年7月には、経済産業省も「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」を開始し、村岡洋一教授はこのプロジェクト推進委員会委員長も務めています。
しかし、今回発表するシステムのように、グリッド技術をカラオケというエンターテイメント事業分野へ応用した例は世界でも初めてといえます。実験では米国の発表会場とエクシングの直営カラオケボックス(埼玉県蕨市)を高速光回線で接続し、日米間での遠隔地デュエットを実現する予定です。
(下図参照)
通信カラオケ事業大手のエクシングでは、ブロードバンド時代のカラオケの楽しみ方の研究において、離れたカラオケルーム同士で、デュエット相手の顔を見ながら歌いたいとのニーズの実現手段を検討していました。その実現には、従来のテレビ会議システムなどと比べて、画像や音声の通信遅延をなくすこと、同時に複数地点を接続する際の画質・音質の劣化を防ぐことが重要な課題となる。また、ネットワークを介して遠隔地のデュエット相手を簡単に探し出せる仕組みも必要となります。
これらの課題を克服する基盤技術として、今回発表されるシステムでは、産総研で研究が続けられてきた、「アクセス・グリッド」と呼ばれる次世代通信技術を採用しました。この技術では、映像・音声の劣化を一切発生させることなく、ネットワークに接続された多数の拠点に一度に配信でき、かつ比較的ネットワーク負荷の少ない通信が可能であるので、複数のカラオケルームの空間を、映像・音声によって結ぶことに適しています。
また、特にカラオケデュエットにおいて最大の課題とされる、通信時の音声の遅延を低減するシステムの研究は、早稲田大学の研究グループによって進められてきました。
今後は、同研究の実用化に向けた取組みの1つとして、世界中のカラオケルームをつないで、デュエット相手を検索するシステム等の研究が進められる予定となっています。
*「グリッド技術」・・・グリッドとは、電気を伝える高圧送電線網(パワーグリッド)に由来しています。
コンセントに差し込めばいつでもどこでも必要なだけ電力が得られるように、情報コンセントに接続するだけで、ネットワークを通して、安全に・安定して・安易に様々な情報サービスを享受できるようにするための次世代インフラです。
ここで言う情報サービスとは、シミュレーションや数値演算処理だけでなく、データベースに収められたデータの分析、蓄積された知識の参照、観測装置の操作と測定値の読み取り、会議室における映像や音声の発信と受信など、様々な資源の利用が該当します。(「グリッド協議会」HPより)